女房は1泊2日の人間ドックに出かけ、娘は婚約者の母のことで病院に行った。
中断していた相続関連のことをやらなければならない。権利証を開かなくても内容がわかるように付箋紙を活用することを思いつき、その作業をやっていたらチャイムが鳴った。
モニターを見たら見覚えのある顔が。
東京のテレビ局に勤めているK君だ。がんになった母親を見舞って東京に帰る途中で顔を見たくなって寄ったらしい。何十年ぶりかの再会だった。
現在のことや思い出など次から次へとお互いの口から出て、あっという間に別れの時間になってしまった。
「元気でな」と運転席に座った彼に声をかけた。彼ともこれが最後になるのだろう。